バッテリー革命

白石拓、最新二次電池が一番わかる

シンギュラリティ革命はエネルギー革命であり、バッテリー革命になるでしょう。つまり、今まで考えられなかったようなロボットや自動車が、今まで考えられなかったようなバッテリーを使って駆動され、我々自身の生活が激変するということです。シンギュラリティ革命を乗り越えるためには、次世代バッテリーがどうなっていくのか常に勉強し最新技術動向を追いかけていく必要があります。高校の化学の教科書に載ってるような基礎知識を押さえたうえで、毎日のニュースから未来のバッテリーがどうなっていくのか、自分なりの考えを持つ必要があります。この本を読んで管理人が驚いた次世代バッテリーの技術シードを御紹介致しますのでご参考になさってください。

・全固体LIB、、、リチウムイオンバッテリーの発火事故の原因はリチウムイオンを伝導する有機溶媒系電解液が引火性を持っているからです。リチウムは水と激しく反応してしまいますし、3.7Vと高電圧のLIBでは水が電気分解されやすくなってしまいますので水系電解液が使えません。そこで引火性の無い固体電解質を使う全固体LIBの開発競争が過熱しています。これが、ガラスセラミック固体電解質の発見によって一気に進展しています。ガラスセラミック電解質は、驚くべきことに有機溶媒系液体電解質の1.7倍のイオン伝導率を持つものが発見されているということです。電解液を上回る伝導率を持つため「超イオン伝導体」と呼ばれます。固体電解質は、電極から金属が析出して樹状に伸長するデンドライトを抑制するためのセパレーターを兼ねるので、セパレーターを設置する必要がなく、セパレーターに要する体積分の容量密度を上げることができます。

・金属リチウム二次電池、、、リチウムイオン電池は、負極の黒鉛グラファイトにリチウムイオンが吸蔵されLiC6を形成するインターカレーション反応により充放電を行いますが、負極にリチウムそのものを使用した方が当然に充電容量が増えることになります。しかし、金属リチウム二次電池では原理的にデンドライトの析出を生じることになるので、セパレータや正極物質の改良が必要です。この改良が進展し、正極に硫黄化合物を用いて、LIBの正極活物質コバルト酸リチウムの理論容量274mAh/gの6倍にもなる、1675mAh/gの理論容量の実現を目指す開発が行われています。ただし電圧は3.7V→2Vと低下します。

・ナトリウムイオン二次電池、、、周期表でリチウムの真下で隣り合うナトリウムを用いた二次電池の開発も進展しています。レアメタルで高価なリチウムが不要な二次電池です。正極材料として注目されているのはマンガン化合物やマグネシウム化合物系酸素レドックス(酸化還元)材料です。LIBに対して重量エネルギー密度は届かないものの、サイクル寿命ではすでに上回っており、3500回のサイクル寿命を持つタイプも報告されています。

・多価イオン二次電池、、、従来の電池はすべて1価イオン(電子1個分の電荷)を輸送して電力を発生させる仕組みでしたが、マグネシウムイオンMg2+や、アルミニウムイオンAl3+や、カルシウムイオンCa2+を利用することにより、イオン1個で運べる電荷量を2倍や3倍にすることにより、充電容量を増やす挑戦が行われています。正極内のイオン拡散にリチウムイオンとマグネシウムイオンを併用する「デュアルイオン」二次電池の構想もあります。マグネシウムイオン多価電池は、負極が金属マグネシウムで正極がマグネシウムイオン吸蔵化合物で研究されています。MgNiCoO2の正極が研究されています。

次世代バッテリーは様々なタイプのものが同時進行で開発されています。どのバッテリーが実用化を果たすかわかりませんが、今我々が使っているようなバッテリーの性能は、10年後、20年後には、完全に過去のものになっている可能性が高いのです。バッテリーの性能向上速度が指数関数的に増加し続けています。最近のスマホではバッテリー交換ができないタイプのものが増えてきましたが、これはリチウムイオンバッテリーの容量とサイクル寿命が向上したので、5年とか10年の製品寿命の範囲内で電池交換を観念しなくても良い段階に至った結果です。すでに電子ペーパーを使うKindleは月1回程度の充電でも利用できるようになっていますが、将来的には「充電」という概念が消滅するかもしれません。

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