新卒1000万円

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NECと、くら寿司が年収1000万円を提示して新卒採用を始めたことがニュースで取り上げられていますね。アメリカの巨大IT企業GAFAにも似たような制度があります。

※くら寿司のエグゼクティヴ新卒採用

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上場企業などの一般的な新卒採用時の年収は20万円×15か月で300万円前後が多いですから、約3倍の好待遇ということになります。

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労働生産性という言葉があるのですが、企業の生産量や付加価値を労働者数で割った数値が、一人当たりの労働生産性ということになり、研究開発部門や経営企画部門などでは極端に大きくなることがあると言われています。

たとえば、1990年代にマイクロソフトのウインドウズNTという画期的な製品が開発された頃、「ウインドウズNTの中心部分は一人のひとが開発したらしい」という噂が流れたものでした。それはデビッド・カトラーという人なのですが、当時のパソコン用OSが、頻繁にフリーズしてシステムダウンすることが多くて使い物にならなかったものを、マルチタスクOSに進化させ安定させた大功労者になるのですが、このときの労働生産性が「百万倍以上あるいは無限大」などと冗談ぽく言われていました。ウインドウズNTを10万円で購入し、最初に使ったときの驚きは忘れられません。こんなOSが出来るなんて凄い!と思ったものです。新卒年収300万円に100万倍すると、これは3兆円ということになりますが、マイクロソフトがウインドウズの成功で儲けた金額から考えるとこれは決して高すぎると言うことはない数値です。

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また、アルベルト・アインシュタインの功績を考えてみても、労働生産性が時には億の単位を越える事が分かります。光電効果、相対論、エネルギーと質量の等価性などの物理学における偉大な発見をきっかけとして、原子力発電、太陽光発電、半導体計算機などが開発されたのですから、人類にもたらした利益は、数値で見積もることが困難な程大きいのです。

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ちょっと極端な例を挙げてしまいましたが、企業の研究開発部門や企画管理部門で破壊的イノベーションを生み出し、企業全体の収益を左右するような業務を担うことが出来る人物であれば、労働生産性が3倍を超えることは「当然のこと」ということになります。

その人物の学生時代の活動記録や卒業論文を読めば、その人物がどれくらいの能力があるのかは一目瞭然ということになります。逆に言えば、光って見えない様な人物はエグゼクティヴ採用する必要が無いのです。そのような人物が現れるまで根気強く選考を繰り返すしかありません。

さて、ここからが、シンギュラリティを乗り越えるための考察になります。21世紀は、AIバイオ革命が進行し、「普通の人間の能力程度」であれば、AI計算機が代行できる時代になると予想されています。東ロボくんプロジェクトでも中堅大学の合格レベルまでは到達できた実績があります。上記の1000万円採用に該当するような人物以外の給与は逆に低下していく可能性が高いのです。大多数の人々は「無用者階級」となり、働く必要が無く、ベーシックインカム(生活保護)を受給して生活するような時代が来ると予想されているのです。

例えば、上位1パーセントの新卒採用は初任給1億円、その他99パーセントの人はベーシックインカム、というような新卒採用事情になる可能性も有るわけです。そうなると、従来の学歴や勉強や資格が労働市場では全く評価されないという事態が起こってくることになります。働くために勉強してきたのに、「ハシゴを外される」ということになってしまうのです。

勿論、「AIに負けないスキルを身につける」と頑張ることも選択肢になりますが、これは極めて分が悪い闘い(レッドオーシャン)になります。1パーセントの労働市場が、0.1パーセントになるかもしれないし、0.01パーセントに縮小されるかもしれないのです。何しろ、機械学習で読み書きソロバン、人間のあらゆる行為を代行することができる時代が目前まで迫っているのです。

そこで、もうひとつの選択肢、方針を転換する必要が出てきます(ブルーオーシャン)労働市場から、ボランティア市場への転換です。生産性革命で物価が下がり、ベーシックインカムが貰えるのですから生活は保証されています。おそれずにボランティア活動、社会起業活動へと進むべきでしょう。「採用されなかったからダメだ、勉強が全部無駄になった」と腐っていては勿体ないのです。「会社で採用されなくても当然、人生の過ごし方が変わったのだ」と考えるべきでしょう。大学卒業と同時にクラウドファンディングやマイクロペイメントを駆使して社会企業家になるということも選択肢になります。そのような変化が毎年少しずつ進行します。従来の学歴勉強システムを継続しながらも、大きな方向性について敏感に感じ取り、適応していく必要があるのです。

※参考書籍

新井紀子、AIに負けない子どもを育てる

駒崎弘樹、「社会を変える」を仕事にする


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