「無用者階級(useless class)」は、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの「ホモ・デウス」で紹介される未来の人々の姿です。
この概念が紹介される第9章の読解を提示します。
第九章「知能と意識の大いなる分離」:21世紀には次の3つの進展が想定される。①人間が経済的軍事的有用性を失い、経済と政治は人間に依拠しなくなる。②経済と政治の制度は、集合としての人間には価値を認めるが、人間個人には価値を認めなくなる。③経済と政治の制度は、アップグレードされた超人という新たなエリート層の個人のみ価値を認めることになる。
軍事面では人間の兵士よりも自律型ロボットやドローンの方が効果的に成果を上げることができるし、経済面でも人間の能力を超えるAI=スーパーインテリジェンスが人間の仕事の大部分を置き換えることができるようになるだろう。生き物はアルゴリズムであり、それは有機物であろうと無機物=シリコン半導体であろうと、実施可能である。音楽や文学の分野でも人間を超える能力を有するアルゴリズムが出現しているようだ。
「2030年や40年に求人市場がどうなっているか私たちにはわからないので、今日すでに、子供たちに何を教えればいいのか見当もつかない。現在子供たちが学校で習うことの大半は、彼らが40歳の誕生日を迎える頃にはおそらく時代後れになっているだろう。」
社会の繁栄に何の貢献もしないし必要とされない巨大な「無用者階級(ユースレスクラス)」が出現するだろう。必要とされない人々は、薬物とコンピューターゲーム(VR世界)に時間を費やす可能性がある。
グーグルは検索とgmailを通じて、フェイスブックは閲覧と「いいね!」のクリック数を通じて、マイクロソフトはコルタナで、アップルはsiriで、私たち自身の事を私たち自身よりも詳細に正確に知ることができる。これらのアルゴリズムがいったん全知の巫女として信頼されれば、やがて代理人へ、そして最終的には君主へと進化するだろう。
ポスト自由主義の世界では、不平等もアップグレードされるだろう。21世紀の医学は健康な人をアップグレードすることに狙いを定めつつあるし、軍事的にも経済的にも無用の人々の健康水準を維持することに価値が無くなってしまうからである。超人カーストは、従来の人間を「19世紀のヨーロッパ人がアフリカ人を扱ったのと同じように」扱う可能性がある。
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ユヴァルノアハアリ氏の「ホモ・デウス」では、遺伝子編集されて人類からアップグレードされた一握りのスーパーエリート、超人類=ホモ・デウス、遺伝子を操作して造物主=神=デウスのレベルにアップグレードされたホモ・デウスが、従来のサピエンスを無用者階級に格下げしてしまうと予言されているのです。遺伝子編集を一番最初に自分自身に加えることができる人々は、例えば、数百億円かけて月旅行に申し込みできるような大富豪の人々です。
世界初の民間月旅行を計画している米国スペースX社の事業を「壮大な無駄遣い」などとバカにしてはいけません。これは人類からのアップグレードを企図する試みなのです。
大富豪スーパーエリートの人々と一般市民の違い、格差が、遺伝子レベルにまで到達するということです。ホモデウスは神になり、一般市民は無用者階級に格下げ、ダウングレードされます。ホモデウスから、無用者階級は、植民地時代のアフリカ大陸現地住民のように扱われる可能性があると予言されています。
※参考記事
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