核融合の現在地点

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エネルギー価格は我々の生活に影響します。

核融合発電は水素原子2個に高エネルギーを投入することによりヘリウムに変わる核融合反応を起こした時に放出されるエネルギーを利用しようとする試みです。太陽も含めた恒星内部では核融合反応が起こっており、地球上の生命が太陽光からエネルギーを受けて生活をしているのは核融合エネルギーを利用して生活しているわけです。太陽光エネルギー→植物の光合成→草食動物→人間、という順番で人間も結局太陽の核融合エネルギーで生活しています。その核融合エネルギーを人工的に地球上で発生させて、人類の生活に役立てようとする研究が続けられています。それは20世紀には「当面実現不可能な無謀な試み」と見られていたのですが、21世紀に入って急激に進展しています。20世紀の人類による核融合エネルギー利用は水素爆弾に限られていましたが、21世紀には、実験的な核融合炉で、人為的にコントロールされた核融合反応を起こして、投入エネルギーと発生エネルギーの比較をするところまで進展しています。

核融合炉には、大きく分けて3種類の方法が模索されています。燃料のプラズマ(水素原子核と電子が分離した高エネルギー状態)を超電導磁石の磁場により保持する「磁場閉じ込め方式」と、慣性力で空間上の保持された燃料に高出力レーザー光を照射する「慣性閉じ込め方式」と、粒子加速器による「衝突ビーム方式」です。

※磁気閉じ込め方式、国際熱核融合実験炉ITER

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日米欧の国際プロジェクト、2020年10月に真空容器の溶接工事開始。2025年に初プラズマ予定。

※磁気閉じ込め方式、JT60SA

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国立量子科学技術研究開発機構の実験炉。前世代JT60が1996年に臨界プラズマ条件を達成し、エネルギー増倍率(核融合エネルギー ÷ プラズマ加熱エネルギー)QDT換算値1.25を達成。JT60SAは組み立て完成後の試験運転中2021年3月に超伝導コイル接続部損傷が発生し、改修中。

※慣性閉じ込め方式、米国ローレンスリバモア研究所の国立点火施設

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2014年2月、核融合により発生したエネルギーが燃料に吸収されたエネルギーを上回る「自己加熱」を達成した。

※衝突ビーム方式、TAE technologies

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民間企業による実用化の試みです。ホウ素B11ブロックに、水素の原子核(陽子p)を加速器で加速させてぶつけてC12を合成する方式。加速器駆動未臨界炉(核分裂発電)の核融合版です。2021年4月に5000万℃以上の安定したプラズマ温度を達成し、2030年の商用核融合炉実現に大きく前進していると主張されています。

※ローソン条件(ローソン基準)

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英国の物理学者ジョン・D・ローソンが提出した核融合の自己点火条件で、正味電力=効率×(核融合-放射損失-伝導損失)がプラスになることを指します。点火条件は、「中心温度」「持続時間」「イオン密度」の三重積でも試算されています。


商用核融合炉の実用化が10年以内に迫っていると「主張されている」状況は、20世紀には考えられなかった驚くべき状態です。商用核融合炉として計画されていますが、電気代は限りなくゼロに近づいて行き、最終的には儲からなくなってしまいます。生産性革命の一側面として、エネルギー価格の低下が進行しているのです。エネルギー価格がゼロになり、そのエネルギーで、人工ニューロン(人工知能)と人工筋肉(モーター)が駆動された場合に、我々の生活がどうなるか、あらかじめ考えておく必要があるでしょう。その時代が来たら、収入は不要になり、雇用契約は我々に生きがいを与えてはくれないでしょう。収入を前提としないような生きがいの再定義が必要となるのです。核融合エネルギーの開発状況がどうなっているか、常に勉強し、知識を更新していく必要があります。

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