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西村賢太さんの突然の訃報に接して、初めて「苦役列車」を読み、それから「小銭を数える」を読んで藤沢清造短編集も読みました。なんでしょうこのリアルすぎる私小説は!恐いもの見たさでどんどん読んでしまう不思議な魅力のある作家です。
雇い主と対等の関係
主人公は港湾労働などの仕事もするのですが、会社の言いなりには決してならず、対等な関係を維持しています。赤の他人に嘘をついて借金を申し込む話とか、同棲する女性が妊娠したがっているのを罵倒する話とか、尋常ではないですね。でも、本音で生きてる感じがして主人公が眩しく見えてしまいます。
私小説家の誕生
西村賢太さんは、幼少期に父親が強盗強姦罪を犯して収監され転校するなど壮絶な体験をしましたが、横溝正史などの探偵小説に始まり、田中英光や藤沢清造などの私小説の世界に癒しを得て文学の世界にハマっていったそうです。芥川賞を取ってからも本音で生きる生活を続け、54歳でタクシーの中で意識を失ってそのまま亡くなってしまいました。藤沢清造さんも知りませんでしたが、読んでみると病気とか借金とかマイナスオーラ満載で、西村賢太さんが没後弟子と名乗るだけあって、同じような世界観が広がっています。藤沢清造さんは精神に異常をきたして失踪を繰り返した末、42歳で芝公園内の六角堂内で凍死体となって発見され、身元不明の行旅死亡人として火葬されたそうです。世の中の人々の「まともな人生」に背を向け、ボロボロになりながらも本音で生きていくという方針なんですね。
「まともな人生」
これは、シンギュラリティの時代に益々必要になっていく考え方じゃないでしょうか。何しろ「まともな人生」がどんどん消滅していく時代に突入していくのです。皆が有り難がっている人生のレールを疑ってみる、そういうきっかけになるかもしれません。
※参考記事
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