シュレーディンガー方程式を学べ

牟田淳、身につくシュレーディンガー方程式

無理を承知で申し上げます。シンギュラリティを乗り越えるためにはシュレーディンガー方程式を学んでください。シンギュラリティ(2045年、技術的特異点)は、量子コンピューター完成後の世界になり、それは量子力学(シュレーディンガー方程式)に基づいて(量子コンピューターが活用されて)動作しているからです。

勿論、ビットコインなど暗号資産の価値も量子コンピューターの性能によって決定されます。それは極端に言えば、シンギュラリティ後の世界の我々自身の全財産がシュレーディンガー方程式によって規定されることを意味します。

シュレーディンガー方程式を学ぶことにより、暗号資産の価値がどれほど高いものか、理解することができます。

こちらの本は雰囲気だけでなく数式で説明を進める硬派の解説書となります。大学の学部生向きの教科書をかみ砕いたような感じでしょうか。

自由粒子のシュレーディンガー方程式(39ページ、数式2.26)

$$i\hbar \frac{\partial\psi}{\partial t}= -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\partial^2\psi}{\partial x^2}$$

いやー、このエッチに棒が刺さってる記号(プランク定数を2パイで割ったディラック定数「エッチバー」)は何だ?この6を反対にした記号(偏微分記号「ラウンドディー」「デル」というのだそうです)は何だ?なんで電子の方程式に虚数単位が出てくるのか、目が点になりますが、毎日見てたら慣れちゃいます。ちなみに、このUとIが合わさったような記号は、ギリシャ文字のプサイで波動関数を意味します。

いやー、管理人も全く分かりませんが、著者が本の中でシュレーディンガー方程式を解いて結果を書いてくださっていますので、その結果を鑑賞するだけでも意味があると思うのです。

基底状態の電子のエネルギー(121ページ、数式6.22)

$$E=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n^2$$

ここで、aは1次元の距離で、mは電子質量、nは励起状態です。基底状態(最もエネルギーが低い状態)なら、n=1なので、電子のエネルギーは、

$$E=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}$$

となりますね。基底状態の粒子がエネルギーを持って振動していることをゼロ点振動というのだそうです。ゼロ点振動があるために、ヘリウム原子は絶対零度付近でも液体のままですし、あらゆる固体の原子も僅かに格子振動しているのです。

ここで、距離がどんどん離れていっても(aがどんどん大きくなっていっても)、

$$a^2$$

はどんどん大きくなりますが、エネルギーはゼロにはならないことが見て取れますね。つまり、極端に言えば1個の電子のエネルギーは無限遠まで広がっているということを意味しています。

山本義隆先生の「ボーアとアインシュタインに量子を読む」307ページに次のようなシュレーディンガーの言葉が紹介されています。

「電子の電荷は一点に集中しているのではなく、量ψψ*に比例して空間全体に広がっている」

「シュレーディンガー選集1波動力学論文集」田中正・南政次訳、共立出版p16

Erwin Schrödinger. Gesammelte Abhandlungen volume 3,p297

Schrödinger to Planck, 8 Apr. 1926 にも同趣旨の記述

なんと、電子1個のエネルギーが全宇宙に広がっているだなんて、なんともロマンチックなお話ですこと!中心から離れていきますと限りなくゼロに近づくけれどもゼロではないんだそうです!ちなみにψ*はψの共役複素数で、ψψ*は、波動関数の絶対値を取って実数値を取りだしているものです。1926年にシュレーディンガーさんが言い出したことなんですけど100年経ってもほとんどの人は御存知ないままですねえ!

量子もつれ

ということで、離れた複数の電子のエネルギーが重なる部分(共振できる部分)が生じる訳で、複数の量子ビットが相互作用する量子もつれの可能性が体感できることになるわけです。複数のシュレーディンガー方程式が相互作用するわけです。それを一瞬で「計算」というか「観測」することができるわけです。複数のシュレーディンガー方程式が相互作用して決定される物理状態は無限の複雑性を含んでいます。それを人類は、まもなく、計算手段として獲得しようとしているのです。これは「高速電子ソロバン」である古典コンピューターとは根本的に性能が違う計算機となるわけです。その能力が、ニューラルネットワーク機械学習に応用されたらどうなるか、ちょっと想像もつかない未来が待っていることになります。

※参考書籍

渡邊靖志、入門講義 量子コンピューター

蔵本貴文、はじめての虚数

こちらの本によると、シュレーディンガー方程式の解は、時間と場所における電子の存在確率を示しており、実際の観測で確かめる時は、共役複素数を掛けて絶対値を求めて実数の確率を計算するということです。

オイラーの公式をみてわかるように、

$$e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$$

波動関数を記述するのに、三角関数よりも指数関数の方が便利であるために、虚数単位iを用いて記述されているということです。

$$a^n\times a^m=a^{(n+m)},a^n\div a^m=a^{(n-m)}$$

掛け算を計算するのに、指数の足し算を計算すれば良いし、割り算を計算するなら、指数の引き算を計算すれば良いのです。

※参考記事

プランク定数


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です