菜根譚におけるミニマリズム

菜根譚ビギナーズ・クラシックス、湯浅邦弘

処世術を教えてくれる中国古典名著「菜根譚」ですが、仏教の教科書として読まれることがあります。そしてその中に、現代のミニマリズムに通じる思想も述べられているのです。

後集131条

人生減省一分、便超脱一分(じんせいいちぶをげんせいすれば、べんちょういちぶをだっする)。
如交遊減便免紛擾、言語減便寡愆尤、思慮減則精神不耗、聡明減則混沌可完(もしこうゆうをげんずればすなわちふんじょうをまぬかれ、げんごをげんずればすなわちけんゆうすくなく、しりょをげんずればすなわちせいしんもうぜず、そうめいをげんずればすなわちこんとんまっとうす)
彼不求日減而求日増者、真桎梏此生哉(かのひとひにげんずるをもとめずしてひにますをもとむるは、まことにこのせいをしっこくするかな)

※意訳

人生において少しのものを捨て去れば、その利益はおおきなものである。

もし交遊を減らせば紛争を免れることができるし、言葉を発することを減らせば間違いを減らすことができるし、考えることを減らせば精神の悩みを減らすことができるし、聡明であることを放棄すれば混沌も消えてしまうのだ。

毎日毎日減らす事を求めず何でも増やそうとしている人は、ほんとに人生の手かせ足かせに捕らわれているのだ。

※鑑賞

これは今はやりのミニマリズムとか断捨離を述べているものと解釈することができます。

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あれもこれも欲しい、あれもこれも買わなきゃ、という考えは、自分自身を縛っていることになりますよ、という警告なんですね。イスラエルの歴史学者ユヴァルノアハラリさんのベストセラー「サピエンス全史」の第6章「神話による社会の拡大」には、「神話は我々の欲望を規定する」という文言があります。神話というのは虚構の共同主観だということです。つまり、我々自身が普段「何気なく」欲しいなあと感じているものは、本当には必要ない物だというわけです。踊らされちゃっているのですね。スティーブジョブズが感動的なプレゼンテーションで聴衆を魅了したように、我々も現代社会の虚構に支配されちゃっているということですね。中国明代の洪自誠さんは菜根譚で、それと同じことを指摘していたわけです。

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