ペーパーカンパニー化


ビクターマイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ著、データ資本主義、NTT出版

「ペーパーカンパニー」は、AI革命・RPA革命・ビッグデータ革命の進展により社員が居なくなった会社、極端に少なくなった会社のことを指します。

オックスフォード大学の教授とビジネス誌特派員の共著「データ資本主義」の最終章で提出された概念です。従来の「ペーパーカンパニー」とは意味合いが違います。従来の概念は実体の無い脱税や詐欺の目的で設立された会社というようなネガティブな意味でしたが、21世紀のペーパーカンパニーは普通に仕事を行い収益を上げて配当をする普通の会社なのです。それでも、合理化、機械化が高度に進展しているために社員がほとんど居ないという状態に至っているのです。第10章の読解を次に提示します。

第10章「人間の選択」

データリッチ市場は、貨幣中心の従来型市場に次から次へと打撃を与えている。人間の従業員をほとんど使わないペーパーカンパニーも増えているが、パーソナルスタイリストを提供するスティッチ・フィックスのような人間中心の組織も新たに生まれている。データリッチ市場に合わせて変貌する企業の動きは、「大調整」とか「グレートアジャストメント」と後日呼ばれるだろう。2020年代末には従来型銀行の多くは消え去るだろう。データリッチ市場において、独占の餌食にならないために、人間の選択が益々重要になる。資源不足が克服されて人間は何もしなくて良くなるという楽観論「十分に自動化された贅沢な共産主義」が流行しているが、これも個人の選択にとって脅威となりうる。データリッチ市場により、人と人の結びつきが進み、人間らしさを深めていく必要があるのだ。

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2019年時点で、日本では失われた30年を生き抜くために、上場企業でも合理化が進められてきました。東証一部上場企業の中で従業員の少ない会社を5社リストアップします。

8918ランド、不動産業、時価総額115億円、連結従業員7名

3521エコナックホールディングス、温浴施設、時価総額53億円、連結従業員16名

9419ワイヤレスゲート、公衆無線通信、時価総額59億円、連結従業員22名

3245ディア・ライフ、投資用マンション、時価総額196億円、連結従業員27名

3925ダブルスタンダード、ビッグデータ関連、時価総額312億円、連結従業員35名

なんと、既にペーパーカンパニー化は相当に進展しているのですね。現在は仕事の一部を外注に出しているのかもしれませんが、その仕事をロボットが代行するようになるでしょう。現在は比較的新しい会社が少数精鋭で経営しているようですが、そのうち旧来の会社も少人数経営に乗り出してくるでしょう。ペーパーカンパニーですから、どんなに大きな会社であっても就職することはできません。株式市場を通して投資することしかできないのです。

ですから、ペーパーカンパニー化の進展する21世紀後半には「就職するな、投資しろ」というのが正解になります。「投資するお金が無いのですが」という質問があるかもしれませんが「マイクロペイメントとクラウドソーシングで働いて、百円ショップで節約しろ」という回答になるでしょう。

wikipedia, data capitalism

※参考書籍

NTTデータ監修、RPA ホワイトカラー革命 (日経ムック)

※参考記事

データ資本主義

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