イギリスでジョンソン首相誕生、ポスト真実の政治

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イギリスでボリス・ジョンソン元外相が首相に選出されました。これは、2016年6月英国EU離脱国民投票可決、2016年11月米国トランプ大統領選出に続く、「ポスト真実」の政治動向の発露です。

「ポスト真実」の政治とは、政策の詳細や客観的な事実より個人的信条や感情へのアピールが重視され、世論が形成される政治文化です。トランプ大統領は選挙戦で、we will make America great again! というスローガンを連呼しました。選挙公約が本当に実現するかどうかは関係ありません。その公約を聞いて国民が気持ち良く感じるかどうかが重要なのです。

英国ジャーナリストのジェームズブラッドワースは、「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」(原題 HIRED )の中で、高度に発達した生産性至上主義の社会において仕事は細分化され、ギグ・エコノミーが進展すると、従来の社会的コミュニティーは破壊され、仕事の分配は、国家(政治家)から、市場へと主役の地位が移転するので、人々は政治に興味を持たなくなると説明しています。

更にまた、中産階級の没落によって、大多数の国民が日々の生活に汲々とした状態に陥った場合には、政治動向について時間を掛けて考えたり議論したりする意欲も能力も低下していき、ただひたすら耳当たりの良い言葉に飛びつく投票行動に結びつきやすいとも考えることができます。ポスト真実は、現実逃避の側面を持っています。勿論投票率は低下することになります。

「ポスト真実の政治」とは、左派ポピュリズムの台頭を意味します。左派ポピュリズムといえば人類は1930年代のナチス台頭を経験していますが、21世紀の没落市民は過去の歴史を振り返る余裕すら有りません。瞬間的に自分達の精神を癒やしてくれる心地よいスローガンを求めているのです。

富裕層が保守政党を支持し、貧困層が革新政党を支持するというような伝統的な政治学の原理は通用しません。保守党だろうが共和党だろうが、気持ち良いスローガンが与えられれば国民の熱狂的支持を得ることができるのです。

「ポスト真実の政治」においては、国民の感情に迎合するような「スローガン競争」が始まることになります。有権者の良心に訴えるより、有権者の感情に訴えた方が得だと職業政治家が気づき始めたのです。政策研究家よりも、キャッチコピー文学者の方が価値があります。そのことに主要政党が気づき始めたのです。

※参考書籍

ジェームズブラッドワース、濱野大道訳、「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」(原題 HIRED )

※参考記事

ギグ・エコノミーの時代

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