ゲームチェンジ

ゲームチェンジとは、科学技術の進歩により、あるいは、新しいイノベーションの導入により、社会的競争のルールが変化し、勝者と敗者が入れ替わる現象のことです。勿論、ゲームチェンジをうまく乗り越えて勝者であり続けることができる者も例外的に居ます。ゲームチェンジをもたらすような大きなイノベーションのことを「破壊的イノベーション」とも呼びます。破壊的イノベーションを推進し、ゲームチェンジを引き起こすような競争参加者のことを「ゲームチェンジャー」と言います。例えば流通分野ではアマゾンがゲームチェンジャーと言われており、アマゾンが流通分野において引き起こした変化のことを「アマゾン効果」と呼びます。

ゲームチェンジは、パラダイムシフトとも呼ばれます。パラダイムというのは、英語のparadigm で、模範・典型というような意味です。従来模範とされてきたものが新しい模範に置き換わっていくことです。

※参考記事、「ゲームチェンジの時代に」高久雅生
https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/56/9/56_649/_pdf

※wikipedia パラダイムシフト説明
https://ja.wikipedia.org/wiki/パラダイムシフト

過去の人類史における大きなパラダイムシフト、ゲームチェンジを列挙します。

1、石器の発明・・・狩猟や戦闘の道具を得た人類が、動物社会から抜け出した。石器の使い方が上手な者、石器を多数所有する者が社会の勝者となった。

2、農耕の発明・・・植物の生育サイクルを観察し人工的に再現することで、人類は米や麦という炭水化物を獲得した。米や麦の蓄積により、富の蓄積が始まった。米や麦を多く保管する者が社会を支配し始めた。

3、文字の発明・・・衣食住のノウハウを文字に残すことにより知識の蓄積と伝承が指数的に増加した。文字を上手に扱える者、文字を多く保管する者が社会の勝者となった。

4、青銅器の発明・・・武器や祭祀に使われた。鋳造技術を有する者、祭祀を主催する者(銅鐸を叩く者)が社会を支配した。

5、鉄器の発明・・・農耕具、武器に使われた。農耕生産量、戦闘能力が飛躍的に増大し、社会内の格差が拡大した。鉄器の材料と生産技術を握った者が社会を支配した。

6、第一次産業革命=蒸気機関と資本主義の発明・・・人類が肉体労働から解放される最初の契機となった。「村一番の力持ち」が重宝された時代が終わり、機械を効率良く動かすことができる者が社会を支配した。土地を多数持つ者よりも、機械を多数持つ者が社会を支配した。日本では明治維新に波及した。

7、第二次産業革命=内燃機関と電話の発明・・・高性能なエンジンの製造技術を持つ者、電気通信の高性能な部品を持つ者が社会の勝者となった。日本では第二次大戦後の戦後復興に波及した。

2018年、世界でも日本でも、「資本を多く所有する者」、「新技術を開発する能力が高い者」が、社会の勝者となっています。それに逆算する形で、教育分野では、学歴社会、勉強重視の風潮が支配しています。しかしこれは人類史において極々最近の出来事に過ぎません。勉強が出来ることなど、明治時代までほとんど価値の無いことでした。奇人変人の扱いです。勉強が出来ても金持ちにはなれませんでした。金持ちになるには、土地を多く所有することが必要で、そのためには土地を多く所有する「家」に生まれるか、養子に入ったり娘を嫁がせたりして縁戚関係を結んで取り入ることが大事でした。

今の社会の価値観がこのまま継続することは無いというのが、過去の人類史をふり返った場合の教訓です。新しいゲームチェンジによって、勝者が変わってくるのです。ゲームチェンジのスピードは毎年増加しています。変化のスピードがどんどん上がっているのです。

未来学者、経済学者ジェレミーリフキンは、21世紀に進行中の産業革命を「第三次産業革命」と呼んでいます。産業史の記述において、第一次産業革命=外燃機関と第二次産業革命=内燃機関についてはほとんどの論者の見解が一致していますが、第三次産業革命の定義については定説がありません。様々な見解が乱立して、定まった見解が形成されていません。現在のAI革命を、第四次産業革命(インダストリー4.0, Industrie 4.0, Industry 4.0)と呼ぶ者も居るし、第五次産業革命と呼ぶ者も居ます。

ジェレミーリフキンは、第二次産業革命によって大規模機械工業を促進するための資本結集技術=資本主義が発展し、コンピューター(AI技術)・インターネットの発明により生産性革命が始まり、生産原価=限界費用がどんどん低下して行きゼロに近づき「限界費用ゼロ社会」が出現しつつあると論じています。資本主義の競争が極限まで進展し、生産性の向上が成功裡に完成し、新たな社会が出現すると予想されています。その社会は、20世紀までの社会とは人々の価値観が異なるゲームチェンジの社会になっています。

人類は、肉体労働から解放され、次に、知的労働からも解放されると見られています。

21世紀の子供たちは、ゲームチェンジに備える必要があります。どのようなゲームが進行中で、どのようにルールが変わりそうか、毎日毎日風向きを観測する必要があります。その感受性・理解力を高める必要があります。第三次産業革命は英語を使って進行していますから、子供たちは英語を自由自在に扱うことが必要です。

Screenshot of su.org

ゲームチェンジ時代の新しいルール、価値基準はSDGsと言われています。人類全体の持続可能性にコミットできる企業・団体・組織・政府だけが生き残ることができると考えられています。

※参考記事

SDGs

※参考書籍


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