酵母2.0, Yeast2.0, Sc2.0

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出芽酵母 Saccharomyces cerevisiae の人工合成プロジェクトが進行中であることをご存知でしょうか。それは、出芽酵母 Saccharomyces cerevisiae の頭文字を取ってSc2.0プロジェクトと呼ばれていますが、Yeast2.0 あるいは、酵母2.0とも呼ばれます。コンソーシアムが設立され、世界中の大学が協力して16本の遺伝子を合成しています。出芽酵母は、パンやワインやビールの醸造に使われ、人類に莫大な利益をもたらしてきた微生物です。

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2020年1月時点で、16本中7本の合成が完了しています。プロジェクトに参加している大学を列挙します。寂しいことに、日本の大学は参加していません(日本人留学生は参加しているかも知れませんが)。

アメリカ → ニューヨーク大学、ジョンズホプキンズ大学、米国エネルギー省Joint Genome Institute(JGI)、GenScript社

イギリス → エジンバラ大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン

中国 → 清華大学、天津大学、中国BGI社

オーストラリア → マッコーリー大学

シンガポール → シンガポール国立大学

細胞内の核が無い原核細胞であれば2010年に遺伝子の人工合成=人工生命体(JCVI-syn1.0、J. Craig Venter Institute合成細胞1.0)は完成していますが、核を持つ真核細胞の合成はこれが世界初のチャレンジです。勿論、我々人類も真核細胞です。ゲノム解読プロジェクトは終了し、今度はゲノム合成プロジェクト(https://en.wikipedia.org/wiki/Genome_Project-Write)が始まっています。これは最初は「ヒトゲノム合成プロジェクトHGP-W」という名前だったのですが、ヤバすぎるのでHumanを消してGP-Wに改名して存続しているのですね。遺伝子の読み取りPCR装置も、遺伝子の合成装置も、性能が毎年向上し、価格が下落しています。遺伝子編集に関して、「読み・書き・そろばん」が揃ってきたのです。

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それぞれの細胞の遺伝子量を列挙します。

JCVI-syn1.0(2010)–1.08Mbp(108万塩基対)

JCVI-syn3.0(2016)–531,000bp(53.1万塩基対)

出芽酵母–12.1Mbp(1210万億塩基対)

イネゲノム–390Mbp(3.9億塩基対)

ヒトゲノム(核ゲノム2倍体)–6,469.66Mbp(1倍で32億塩基対)

※参考記事、酵母2.0—世界初の機能的な合成真核生物ゲノムの構築における点をつなぐ

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5894084/

※参考記事、パン酵母のゲノムを化学的に合成

https://arc.asahi-kasei.co.jp/member/watching/pdf/w_273-12.pdf

※参考記事

合成生物学の衝撃

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