欧米を中心にコロナウイルス新規感染者数の減少傾向が強まってきました。経済活動の再開を模索する動きも見られるようになりました。しかし、イスラエルの歴史学者ユヴァルノアハラリさんは、コロナウイルスが終息しても、世界は元通りにはならないと言っています。
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ハラリさんによれば、コロナウイルスの脅威が人類の歴史の変化を早めたといいます。未成熟で危険性のあるテクノロジーでも、感染症対策のためにどんどん採用され試行されるのです。国家そのものが社会実験のモルモットにされています。学校や大学だけでなく、企業や政府などあらゆるものがオンライン化されています。コロナ危機が去った後でも、これらのオンライン化がすべて廃棄されることにはならないでしょう。
人海戦術の監視体制であったKGBの時代には思いもよらないような完全な監視体制がIT技術の進歩により可能となっています。パンデミックを抑制するという大義名分のもとに、体温・血圧・心拍数などを測定できる生体認証ブレスレットの装着が全国民に義務化されるかもしれません。それはスマートフォンの閲覧・操作情報と連動した個人の政治関心に関するデータとして利用することができます。緊急事態宣言下の措置は、感染症の危機が去った後でも、次の感染症に備えるためとして維持される可能性があります。
テクノロジーを用いて感染症に対抗する方策は、政府による監視体制と、市民の相互信頼による自発的な対策の2種類があります。この選択を誤ればプライバシーは永遠に失われるでしょう。
国同士の関係で言えば、自国主義と、グローバルな協同体制の2種類の選択があります。不一致の道を進むか、それとも世界的な連帯の道を選ぶか、それによってコロナだけでなく将来のすべての感染症に勝利できるかどうかが決まるのです。
言うまでもなく、個人レベルでも、国家レベルでも、選択肢は単純な二者択一では無いでしょう。完全なゼロも完全な100パーセントも無いのです。だから、コロナ後には完全に元通りになることは無いのです。これは別にコロナに限ったことではありませんが、わずか数か月のうちに300万人以上が感染して20万人以上が死亡したインパクトにより、人類の歴史を大きく動かしたことは間違いなさそうです。ゲームチェンジの時代ですが、その変化の速度が早められたのです。
在宅勤務、配達ロボット、オンライン会議、コロナ対策で導入促進されたテクノロジーは確実に人間社会を変化させるのです。オンライン会議の増加はリアル不動産価格の恒久的下落を招くかも知れませんし、企業経営陣はリモートワークをやってみたら意外に少人数で会社を回していけるかもしれないと気付いたでしょう。アフターコロナでは企業の人事戦略が確実に変化します。これから就職する学生さんは、その少人数とはどれくらいの人数なのか、それはどういうメンバーなのか、自分はそのメンバーに入れるのか、入れなかったらどうなるのか、色々考えてみると良いでしょう。
※参考記事
ゲームチェンジ
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