二重思考は、1949年に刊行されたジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984」で提示された超管理社会の全体主義国家で人々に強いられる思考方法で、社会のプロパガンダを受け入れる思考方法です。真実を認識する思考と、ウソのプロパガンダを受け入れる思考が同居するということです。
この小説を読みますと、浦沢直樹さんの「20世紀少年」というマンガと、村上春樹さんの「1Q84」という小説が思い出されます。1984の「ビッグブラザー」が、20世紀少年では「ともだち」に、1Q84では「リトルピープル」になっているんですね。ものすごく端折って言いますと、どれも「人間性が大事」ということがテーマになっているわけです。他にも派生した作品が沢山あるでしょう。沢山の文学作品に影響した、偉大な作品と言えます。
オーウェルの「1984」では、ingsoc という英国社会主義をもじった全体主義体制が批判されていますので、刊行された1949年当時から冷戦期を通じて、「反共産主義小説」という評価がなされてきましたが、21世紀に入ってちょっと意味合いが変わってきています。全体主義の担い手が、社会主義国から、普通の民主主義国へと変化してきているのです。それも、政府というより、巨大IT企業がビッグブラザーのように人々の心を支配し始めているということです。21世紀には「デジタル全体主義」「デジタル独裁政権」が人々の人間性を蝕み始めているのです。
※参考記事
したがって、21世紀の二重思考は、巨大IT企業のAIアルゴリズムによってもたらされると認識すべきことになります。そのような二重思考からの脱却を図るために、インターネットからの切断ということが大事になってきます。いわゆるオフラインミーティングですね。
日本人なら、寺山修司さんの「書を捨てよ町へ出よう」という戯曲が参考になるでしょう。インターネットも書物も放棄して、自分自身の実体験を重視する思考法により、二重思考を回避できるかもしれないのです。
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