新しい物語「太陽経済」

新しい物語

イスラエルの歴者学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏が「21レッスン」で提示した未来の物語、「新しい物語」の模索が世界中で行われていますが、その明確な答えはコンセンサスに至っていません。

山崎養世、21世紀型大恐慌

そんな状況において、新しい物語の候補を示す本がありましたので御紹介したいと思います。勿論、新しい物語は、人類のコンセンサスで作り上げられるものであり、30年後、50年後から振り返って、「こうなったね」と認識できるものであり、将来を予測することは限りなく不可能なことであり、ナンセンスとさえ言えるかもしれないのですが、21世紀の子供達にとっては、自分達が巻き込まれる未来のことであり、そのような悠長なことは言っていられないのです。管理人の読解を提示致しますので各自本を手に取って読んでみてください。


第1章、アメリカ発21世紀型大恐慌が起きる

コロナ対策で世界中の中央政府が国債を増発し、中央銀行が引き受けている。税収は減少しているので、米国債とドルへの信認は確実に低下しつつある。やがて、米国債の買い手不在に陥り、ドルと米国債の暴落を招くだろう、それはドル安と、米国市中金利の急上昇を引き起こし、不景気の物価上昇スタグフレーション、ハイパーインフレの再来に至ることになる。国債、通貨、株式のトリプル暴落を意味する。

国債大量発行の源流である1990年代のBIS規制は、米国債のリスク度をゼロとして、自己資本比率8パーセント規制を強要することで、日本の銀行に米国債を買わせ、日本の国際競争力を削ぎ、米国の財政赤字を補填させるものであった。

大恐慌からの脱出には、国債大量発行前の世界秩序の根源に遡る必要がある。それは1941年8月のルーズベルトとチャーチルの「大西洋憲章」に遡ることである。これは自由貿易や民族自決や経済協力の理念を確認し、国際連合の礎となるものでした。

米中対立を解消するために、人類学の知見を生かし相手の体制を尊重し、自然エネルギーの相互依存ネットワークを構築することが必要である。

第2章、太陽経済の勃興

21世紀大恐慌後の世界は、持続不可能な石炭経済・石油経済ではなく、持続可能性を追求した太陽経済となる。それは「宇宙船地球号」の知見を生かした、太陽の恵みをエネルギーの中心に添える考え方であり、単なる太陽光発電ではない。技術革新を推進し、太陽光発電だけでなく、風力発電、バイオマス発電、水力発電などを主役にするものである。それは、「永遠」、「無尽蔵」、「平等」、「無料」のエネルギーである。電力もインターネットのように相互融通することにより低価格化・無料化できる。送電ネットワークは欧州で既に始まっている。

第3章、田園からの産業革命

21世紀型大恐慌が起きたら、日本もダメージを避けられないが、債権国日本の価値や購買力は相対的に上昇する。デジタル化、ネットワーク化により、地方分散経済が推進されるチャンスとなる。これから、農林水産業プラス4K(健康、観光、環境、教育)は成長産業の中心となるだろう。大都会から地方へ、民族大移動が起きるだろう。

終章、金融革命

太陽経済、田園からの産業革命を推進するためには、日本でも160兆円の公的年金GPIF、280兆円のゆうちょ銀行とかんぽ生命などの公的資金を不動産を含むインフラ投資にも回す金融革命が必要である。シンガポールやカナダでは年金のインフラ投資が高い投資効率を実現し国民に利益を還元している。


著者の山崎養世さんは、太陽経済を推進するための団体を立ち上げて精力的に活動なさっています。

Screenshot of www.taiyo-keizai.com

これもまた、「新しい物語」を模索する試みのひとつでしょう。読んでいて、ジェレミーリフキンの「限界費用ゼロ社会」の「豊饒の角」「新ガンジー主義」を思い出しました。

シェアリングエコノミー、限界費用ゼロ社会

WTI原油マイナス価格

ダウ平均もナスダックも日経平均も史上最高値とか30年ぶり価格を連発していますが、景気循環の波は避けられないでしょう。主要国の政府と中央銀行は、景気循環の波を軽減するよりも、目下の経済対策を優先させる政策を取り続けています。

その必然の帰結として、次の景気後退も避けられないことになるわけです。シンギュラリティを乗り越えるためには、その手前で「大恐慌を乗り越える」必要があるということになります。


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