1989年、ポーランドの民主化と混乱を経験して、モルガンスタンレーやグーグルで人材育成や組織開発をしてきたフェリクス・グジバチさんの「ニューエリート」第4章を読みました。当サイトの問題意識と非常に近い内容です。
著者のグジバチさんは、第4章「会議・チーム作りはアウトプットから逆算する」で、変化の激しい時代に生き残るための、イノベーションを生み出すプロジェクトチーム造りの極意を教えて下さいます。グーグル流のプロジェクトの進め方です。箇条書きでピックアップ致しますので各自「ニューエリート」を読んで吸収なさって下さい。
・チームメンバーはプロジェクトごとに選抜し、固定させない。
・コミュニケーションの成否は、結果で判断する。
・リーダーシップは全員が持つべきスキルである。
・アウトプットに不要なメンバーは会議に呼ばない。
・情報はリアルタイムで共有すべきだから、メールよりオンラインチャットや、直接面談。
・チームのボトムライン=給与や福利厚生も含めた環境整備も大事である。
・情報の共有が大事だから、グーグルドキュメントに全員でアクセスすべし。
・思考の多様性=ダイバーシティを確保するために、多様な考え方を許容する。
・自己効力感(セルフエフィカシー)を高めるためにメンバーの成功体験を共有する。
・「飲みニケーション」も含め、自分たちのやり方でコミュニケーションを深めよ。
グーグルでは「H型人材」を求めているそうです。それは、強い専門性を1つ持っており、他の人の専門性と繋がる横棒を持ち、別の専門コミュニティと繋がることでHになるという、人と繋がりやすい人材だということです。今や、ひとりの力で課題を解決できる時代ではなく、色んな人と繋がることで新しい価値を生み出す時代なのですね。
イノベーションの定義を思い出しましょう。
シュンペーターは、「経済発展の理論」のなかで、イノベーションの特徴に次の5つがあると述べています。
1、新しい財貨の生産
2、新しい生産方法の導入
3、新しい販路の開拓
4、原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
5、新しい組織の実現
新しい価値を生み出すために、新しい生産方法の導入が必要だし、新しい販路の開拓も必要だし、新しい供給源も必要だし、新しい組織も必要になるというわけです。これら全てを実現するためには、ひとつの専門性だけでなくふたつ以上の専門性を組み合わせることが必要になるというわけです。イノベーションは「新結合」とも呼ばれますので、まさに結合させることが必要なのですね。
グーグルではほとんどメールを使わないというのは意外でした。でも、グーグルのプロジェクトチームの運営方法などを読むとなるほどと思います。PDCAのスピードを上げるためにメールなんてやってられないというわけです。もの凄いスピード感ですね。イノベーティブなスピード感です。
旧エリートとニューエリート
旧エリート | ニューエリート |
---|---|
固定化された地位 | 持続的に成長する |
有名大学や大学院卒業 | 豊富な学習歴 |
有名会社に入り一生安泰 | 自分がやりたいことややるべきことを追求 |
金融資産を保有 | 人間関係資本や変身資産(変化を恐れない力)を保有 |
上からの指示に従った仕事が早くて正確 | 新しい枠組を作る |
立身出世や名誉やステータスが動機 | 楽しいからやっている他者貢献 |
誇示的消費 | ミニマリズム(最小限主義) |
同窓会などの限定ネットワーク | 多様性に富んだ交友関係 |
スーツ姿 | wear something |
計画主義 | 学習主義 |
勤勉 | 情熱 |
服従 | 率先 |
安定 | ムーンショット(大ホームラン) |
会社に仕える依存する | 会社をうまく活用する |
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