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アイン・ランド

「素晴らしき新世界」「1984」などのディストピア小説の分類に入る小説です。米国議会図書館の調査で「聖書に次いでアメリカ人に最も影響を与えた本」とされた『肩をすくめるアトラス』の著者アイン・ランドによるディストピア短編小説です。アンセムというのは「賛歌」という意味で、言うなれば「自我の賛歌」という意味です。

集団・平等主義が極限まで推し進められた結果、「私(I)」という概念が排除され「われら(we)」に置き換わってしまった遠い未来。主人公は自由を取り戻す闘いに立ち上がります。

アイン・ランドは、1905年にロシアのサンクトペテルブルグで生まれ、12歳の時にロシア革命を経験し、アメリカに渡ったユダヤ系アメリカ人作家・思想家です。アメリカの巨大IT企業の創業者らが影響を受けたとされています。どうして彼らはそんなにお金を稼げるのか、そこには合理的利己主義が働いているのではないかという議論があります。

印象に残った一節を引用致します。真の自我(エゴ)に目覚めるまえ、一人称(わたし)は存在せず、「われら」という言葉しかありませんでした。

『われらは空腹を感じて立ち止まった。樹々の枝には鳥が止まっていた。足元から、鳥が飛び立っていて。石を一つ拾い、一羽の鳥に投げ付けた。鳥はわれらの前に落ちた。われらは火をおこし、鳥を焼いて食べた。これほど美味しいものは食べたことがなかった。ふとわれらは思った。自分が必要として自分の手で獲得した食べ物には、すばらしい満足感がある。早く次の空腹を感じたいと思った。食べることへのこの不思議な誇りを、それまで経験したことがなかった誇りを、また感じたいと思った。』

主人公が自我に目覚めた後、「私」は「こうしたい」ということを宣言します。

『私は私の宝を他人に奪わせない。私の宝を他人との共有物にしない。私の精神の財産を、精神の貧者への施しとして真鍮のコインにつぎ込み、放り投げるようなことをしてはならない。私は私の宝を守る。私の宝とは私の思考であり、私の意志であり、私の自由だ。中でも最も大切なのが自由だ。』

社会主義革命の「よけいなお節介」を体験して、そのアンチテーゼとして、アメリカ自由主義の核心を思索して、合理的利己主義の哲学を作り上げたのです。そのメッセージは、「自分を大事にしろ」という言葉で言い換えることができます。それは、現代の奴隷制(デジタル全体主義)からの脱却を目指すシンギュラリティ対策の指標にもなるはずです。

※参考記事


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