化石資本主義

デイビッド・ウォレス・ウェルズ、地球に住めなくなる日

今世紀末に気温が8度上昇して海水面が60m上昇するなど、衝撃的な内容の話題作ですが、第19章「資本主義の危機」で、気候変動が資本主義に与える影響を考察しています。

ケネス・ポメランツ、大分岐―中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成

アメリカの歴史学者ポメランツの分析では、長らく未開の辺境地であったヨーロッパが19世紀に大発展したのは石炭(化石燃料)の活用が原動力であったと結論づけています。産業革命が資本主義経済を生み出したのですが、それは、化石資本主義であったというのです。

化石資本主義は、気候変動によってふたつの危機に見舞われているとデイビッド・ウォレス・ウェルズは述べています。ひとつは気候変動が世界全体の経済を停滞させて、地域によっては恒久的な景気後退のような状況をつくりだすこと。そしてもうひとつは、所得格差という形で、富める者よりも貧しい者が露骨に痛い目にあうということです。

ハーバード大学の応用物理学者デイビッド・キースは2018年に1トンあたり94ドルの低コストで二酸化炭素を除去できるという研究を発表しました。いわゆるネガティブエミッション技術です。

https://www.cell.com/joule/fulltext/S2542-4351(18)30225-3

これによると、世界全体で1年間に排出される二酸化炭素320億トンを除去するのに世界GDPの4割に相当する約30兆ドルかかる計算になります。当然、従来の経済は維持できないことになります。

著者によると、現在でも化石燃料関係の補助金として年間5兆ドルが支出され続けているので、これをやめるべきではないかと書かれています。補助金と言っても、化石燃料のCO2排出を削減する研究助成などの名目かも知れません。

このように見てくると、従来型の資本主義経済(化石資本主義)は継続することが到底不可能であることが分かります。主要先進国におけるゼロ金利やマイナス金利をみても分かるように、資本主義の「上げ潮の成長」「投資に対する利益配当」という約束は維持できなくなりつつあります。我々はいやおうなしに「新しいシステムを構築して運営していくコスト」を負担させられることになります。巨大な資本主義経済の緩慢だが確実な変化は、我々自身の生活・人生に直接影響していきます。その変化をなるべく早く認識し、自分自身の生活・人生を適合させていくことが必要です。まず最初は、従来の資本主義が化石資本主義であったということを認識することから始まるでしょう。

※参考記事

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