21Lessons 第4部真実

イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリさんの最新作「21レッスンズ-21世紀の人類のための21の思考」、少しずつ読んでいます。管理人の読解を提示致しますので各自読んでみて下さい。

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15、無知
自由主義の思想は、個人の合理的判断に絶大な信頼を置いているが、私たちの考え方の大半は、個人の合理性よりもむしろコミュニティの集団思考によって形作られている。巨大な権力はブラックホールのようなもので、近づけば近づくほどすべてがねじ曲げられてしまう。2000年以上前にソクラテスが述べたとおり、自分の無知を認めることが最善の策である。

16、正義
グローバル経済ネットワークが構築された現代社会において、狩猟採集民が持っていたような、目の前の出来事に関する素朴な正義感は時代後れになってしまった。グローバルな問題の対策は、「問題の規模を縮小する」ことや、「胸に迫る人間ドラマに的を絞る」ことや、「陰謀論をでっちあげる」ことや、「全知のドグマに任せてしまう」ことが考えられるが、いずれも欠点を抱えている。グローバルなコミュニティが存在しないので、皆で一緒に考えることができないのだ。

17、ポスト・トゥルース
プーチンやトランプの出現により、フェイクニュースの時代、ポスト・トゥルースの時代が始まったとか、フェイクニュースの時代が始まったなどと言われるようになったが、プロパガンダや偽情報はけっして新しいものではない。そもそも人類はポスト・トゥルースの種であると言える。人類は、虚構を創り出して広め、常に多くの見ず知らずの同類と協力できる唯一の哺乳動物である。この能力により人類は地球を征服することができたのだ。洗脳マシーンから抜け出すには、信頼できる情報には対価を惜しまないこと、科学論文を自分で読む努力をすることが必要である。

18、SF
人間が他のどんな動物よりもうまく協力できるのは、共通の虚構を信じているからである。だから、詩人や画家や劇作家は、兵士や技術者と同じくらい重要である。現代の科学は、真正性は神話であるということを明らかにした。自由意志など無いということは、映画「インサイドヘッド」、「マトリックス」、「トゥルーマンショー」などが上手に描き出している。オルダスハクスリーのSF小説「すばらしい新世界」は、もっとストレートにこれを描写している。野人ジョンは不幸せになる権利を主張し隠遁生活を志したが、人々の好奇の目にさらされうんざりし、首を吊って世界から逃げ出してしまった。21世紀の我々は新世界から脱出して生還する可能性を探究すべきである。

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第4部は、真実の性質を述べています。簡単に言うと、「真実」は人類の共同主観の虚構のひとつであると述べています。「科学もSFも変わらない」と言っちゃっているわけで、凄いニヒリズムだなあと思いました。でも、筋が通っているので爽やかな読後感があります。完全ニヒリズムじゃなくて、一筋の光明も描き出しています。

第4部の最後の言葉を引用します。

「自己の狭い定義を脱することが、21世紀における必須のサバイバルスキルとなってもおかしくはない。」

ハラリさんは、脳や自我すら捕らわれているシステムの侵略からの脱出を企図しているわけです。第4部を読むには、フロイトやユングなどの心理学を予習した方が良いように思いました。勿論ハラリさんも勉強しています。歴史学者なのに勉強分野が広くて驚きます。

17章で提示されたポスト・トゥルースの洗脳マシーンから抜け出すためのふたつの経験則、「信頼できる情報には対価を惜しまないこと」、「科学論文を自分で読む努力」が大事になってきます。論文冒頭の要約部分、いわゆるアブストラクトだけでも、英語で読めるようにすることが大事です。論文検索を習慣にしましょう。

Screenshot of scholar.google.co.jp

有名な映画ですけど、「マトリックス」、「トゥルーマンショー」、「インサイドヘッド」も見直したほうが良いですし、SF小説「すばらしい新世界」も是非読みましょう。

※参考映画(amazon prime video)

インサイドヘッド(吹替版)

マトリックス(字幕版)

トゥルーマン・ショー(字幕版)

※参考書籍

すばらしい新世界

別冊ニュートン、ゼロからわかる心理学

※参考記事

サピエンス全史、上巻

サピエンス全史、下巻

ホモ・デウス上巻

ホモ・デウス下巻

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